家づくりコラム
2021年06月05日
世界規模で進むウッドショックとは?建築資材高騰による住宅価格への影響
今回は最近の住宅市場について現場の目線からお話ししたいと思います。
1:ウッドショックとは、輸入木材の高騰のこと
ニュースでもウッドショック、という言葉が取り上げられるようになりましたが、住宅業界にいる私たちにとってもこの言葉が身近になってきたのはつい2ヶ月ほど前です。木材を提供してくれている会社さんから、このままでは提供できなくなるかもしれない、という話題が聞かれるようになったからでした。
背景にある要因は主に二つで、米国の住宅市場の活性化、および依然として続く中国の住宅需要の伸び。今後どうなるかは不透明ですが、木材に関しては引き続き値上がりの可能性が高そうです。
(林野庁の木材輸入量のグラフを見ると、製材の輸入量は確実に減っています。※1)
2:木材だけじゃなく、他の建築資材も値上がり中
さて、木材が高騰する一方で、実は他の建築資材についても値上がり傾向です。鉄鋼、セメント、内装材、いずれも上振れしています。※2
なぜウッドショックと関係ない他の建築資材も高騰しているのか。さまざまな要因が絡むため一概に言い切れません。ただ、オリンピック需要や復興需要を山場として高騰していた鉄鋼やセメントの価格が戻っていないこと、コロナ禍でさまざまな流通が滞りがちであること、人材不足による人件費の高騰、などが一因と考えられています。
3:今秋を目処に住宅価格は上昇する可能性大、工期延長の可能性も
要するに家を建てる場面に関するもの、ことが全体的に値上がりしてきています。
このように建築資材が上振れしているため、今後は住宅価格へも影響が出てくることになります。
具体的には現時点で木材だけでも坪あたり15,000円程度の上昇が見込まれており、実際にインゾーネの家でも8月〜9月をめどに値上げを検討中です。
また、値上がりだけではなく、工期の延長という影響もあります。本来6ヶ月で終わっていたはずの工事が、木材待ちで完工できない、ということが出てきます。昨年のコロナ第一波の頃、中国から陶器の便器が届かなくなり、工期が伸びてしまったケースがありましたが、それがもっと大きな範囲で起こる可能性があります。
もし資材遅れで2022年にお引き渡しが出来なければ、住宅ローン減税の対象外となってしまう場合も考えられます。この場合、たとえば年収500万円のケースだと約360万円の減税が受けられなくなる計算です。
4:お家づくりは価格の影響が少ない早めの時期にスタートを
ただ、こうした状況でも、ご結婚やご出産など人生のタイミングに合わせて、お家づくりは進めていきたい方が多いかと思います。
そこで、これからお家作りを検討される方には、ぜひ次の二つを踏まえていただけたらと思います。
1. 年内どこかで家づくりをしたいと考えていた場合は、できるだけ早い段階でのご契約を
(資材値上がり、減税政策の終了(9月末契約で締め切り)、資材不足の影響を避けるため)
2. 早い段階で契約しても、資材の手配が行き届かず工期が大幅に伸びる可能性があることを念頭に
焦って決めても後悔してしまうことになりますので、余裕をもつためにも早めに動き始めることをおすすめします。
2021年適用となる補助金、減税についてはこちらの記事でまとめましたので合わせてご覧ください。
新築住宅を建てる際に利用できる補助金・控除制度を紹介します|インゾーネの家 家づくりコラム
※1.木材輸入の状況について(令和3年6月)(PDF : 223KB)|林野庁HP
※2.2021年5月10日調べ主要資材価格動向(東京)|一般財団法人 建設物価調査会